終わった

今日で解剖学実習は最後だった。
完全に納棺を終えたあと、掃除だの何だの。
そして献体の方の名前が皆に知らされた。
「今知らせた名前はメモを取ればいいとか、そういうものではない。君たちには、その名前の重さを感じて欲しい。」
そう先生に言われた瞬間、何か寒気のようなものを感じた。
振り返れば、実習は全て順調だったわけではない。
時間に追われていい加減にやった部分も多々あった。
それで良かったのだろうか??


棺に献花し、最後の黙祷をした。


そういえば、いつぞやのバラバラ殺人事件の裁判が話題となっている。
犯人は細切れにした人体をトイレに流したという。
手を洗いながら、流し台の排水溝に詰まった肉片を見てそんな話を思い出した。


「もし目的が伴わなければ、我々のこの行為は単なる死体損壊だ。」
とりあえず、俺にできるのはこの経験を将来に生かすことだけなのだが。