ダルい

今日は部署が変わって、今までよりもいくぶん元気な方が多いところになった。


まずは掃除、ということで先輩と二人で掃き掃除。
「あなた元気がないけど大丈夫ですか?」と職員に突き刺すように言われて少し腹が立った。
笑顔は作っているつもりだったが、目が笑ってないのは自分でも分かった。
かなり範囲が広くてけっこう疲れる仕事だった。


その次に食事介護。
その時にお世話をしたお婆ちゃんに妙に気に入られてしまい、午前中はずっと話していた。
廊下に立っているおじいさんに「どうかされましたか?」ときいたら突然「お前こそ何をしている?!」と職務質問された。おまけに逮捕術まで食らって、痛くはなかったが大変だった。
彼はフラフラしている若者が大嫌いなのだという。


午後になって違う人たちとボール遊びをした。
その途中でさっきのお婆ちゃんが読んでいるというのでまた会いに行った。
半端なく気に入られてしまったらしく物をタンスから出しては「持っていけ」と言われた。
(言うまでも無いがそれらは全て職員に預けて帰った。


彼女は施設の対応に不満を感じているらしく、僕に泣きながら色々と訴えてきた。
が、それらは全て彼女の被害妄想なのだという。
職員に暴力を振るわれたとか言っていたが事実はどうなのかわからない。
だが、彼女に限らずそういうお年寄は、家に帰りたいという願望を施設への不満として吐き出している。
ターミナルが自分の家ではないということは僕らが考えているより苦しいことのようだ。
この先の高齢化社会、このようなお年寄は更に増える。
それは未来の自分かもしれないのだ。


しかし、いくら好きだとか、お金をもらっているからと言っても、職員の人たちの仕事ぶりには頭が下がる。
僕が同じ仕事をしろと言われたら3日ももたないだろう。
優しさや思いやりに関して、僕は瞬発力はあるが持久力がない。
入院ならまだしも、ターミナルまで何年とも分からないつきあいをしなければならないなんて。
そして何かあればすぐに親類がやってきてクレームをつける。
親をほっぽり出しているのは自分たちなのに。


なんだかまとまりのない文章になってしまった。
それはこの数日間であまりに多くの問題を突きつけられたからかもしれない。
別にショックを受けた訳じゃないけど、考えるのはダルい。


先程のお婆ちゃんだが、帰り際にしきりにこんなことを言っていた。
「物や金じゃない。愛情が大切だ。」